相続トラブルの解決事例 37

被相続人の預貯金が一部の相続人に引き出された問題で、弁護士がこの相続人と交渉し、死亡後の引出しについて法定相続分に相当する金銭の支払いを受けることで解決した事案

解決事例37

担当弁護士
今井 浩統
トラブル内容
遺産の使い込み
解決方法
交渉
ご依頼者
R.Tさん
受任年
2020年
解決年
2021年

相続トラブルの概要

ご依頼者のR.Tさんは、遺産である被相続人の預貯金が一部の相続人に生前・死後にわたって引き出されており、相続人同士で連絡を取り合うことに抵抗があったことから当事務所へご相談にこられました。

解決に向けてのポイント

被相続人の預金の引出しについては、被相続人の意思、関係性、死亡の前後により法的性質が異なります。

話し合いにより解決できるのであれば、その性質による影響はほとんどありません。しかし、裁判所の手続きによる場合には、手続き選択が極めて難しいものとなり、性質によっては時効期間も異なるため、相続事件を専門的に取り扱っている弁護士に相談すべきと考えます。

解決に向けた交渉の経過

被相続人が亡くなったものの、ご依頼者のR.Tさんは、相続人間で連絡を取り合うことに抵抗があり、代理人として当職が受任しました。

本件において、相続人の中に認知症の方がおりました。遺産分割手続きを行う場合、後見人等の選任手続きが必要であり、様々な事情から後見人の選任は憚られるとのことでしたので、一時的に遺産分割協議はしないこととなりました。

相手方による被相続人名義の預金引出しについては、被相続人の生前にも行われておりましたが、被相続人の死亡後も続いておりました。生前の引出しについては金額が多くなかったため、最終的な解決として、死亡後の引出しについて法定相続分に相当する金銭の支払いを受けることで交渉を進め、解決することができました。

当事務所が関わった結果

引き出した預金の法定相続分に相当する金銭を獲得したということだけみると、一見簡単なもののように思われますが、その法的性質や手続き等に鑑みると極めて難しい問題になります。

本件は、遺産全体の解決は行わず、被相続人の預貯金引出しに関する一部の解決で合意したため、その後の権利関係に影響を与えないように配慮したり、権利の消滅を回避するための手段を講じたりと、細やかな配慮も必要でした。

また、本件に直接関係するものではありませんが、今後予定される遺産分割協議に向けて、遺産分割協議までの間に想定される様々な事情に対応するための合意を交わしており、遺産分割協議までのトラブルを回避すべく、事案を踏まえた細やかな解決ができたケースだと思います。

遺産分割・遺留分のトラブルは弁護士へご相談ください

初回相談は無料です

遺産の使い込みに関する解決事例

解決事例一覧に戻る