相続トラブルの解決事例 29

被相続人の預金の無断引出しと相手方に全て相続させる旨の遺言があったため遺留分を請求、相手が無視したため弁護士が訴訟を提起し、ご依頼者が不利にならないよう先手で対応、金銭支払いで和解した事案

解決事例29

担当弁護士
齋藤 碧
トラブル内容
遺留分侵害額請求
解決方法
訴訟上の和解
ご依頼者
N.Iさん
受任年
2019年
解決年
2021年

相続トラブルの概要

被相続人である母の逝去を他の相続人であるきょうだいに秘匿されていたN.Iさんからのご相談でした。

相談者のN.Iさんが母の逝去後に調べたところ、N.Iさんの知らない間に、きょうだいの1人に遺産を全て相続させる旨の遺言が作成され、母の預金から使途不明な多額の引出しがあったことから、遺留分の請求をしたいということで当事務所にお越しになりました。

解決に向けてのポイント

相談者のN.Iさんは、当事務所のご依頼前にご自身で遺留分減殺請求の通知をし(旧法の遺留分)、調停の申立てをされていましたが、相手方はこれを一切無視していました。

そこで、相手方に請求に応じる意思がないと判断し、訴訟による解決を図ることとしました。また、相手方のこれまでの対応から、訴訟中に遺産を処分してしまうおそれがあったことから、先行して保全手続きを行うことを提案しました。預金の引出しについては、当時の母の財産管理能力が重要であることから、医療機関への調査も提案しました。

解決に向けた交渉の経過

医療機関に対し、当時の母の状況について調査を行ったところ、重度の認知症であり、入院中であったことが判明したことから、預金の引出しは母の意思に基づかない相手方による違法なものと判断し、これも含めて遺留分として相手方へ請求をすることにしました。

訴訟に先立って、不動産の処分禁止の仮処分を行い、相手方に遺産を処分されてしまうことを防止した上で、遺留分減殺請求の訴訟提起をしました。

当事者双方ともに、不動産を共有することは希望しなかったことから、相手方から現物ではなく金銭支払いを受ける内容で、訴訟での和解により解決しました。

当事務所が関わった結果

被相続人と同居していない場合などは、ご自身が知らないうちに財産処分されていることがあります。そのような場合、被相続人の逝去後に金融機関や医療機関等から情報を収集し、調査・分析の上、相手方への請求内容を決める必要があります。当事務所では、多額の預金の引出しがあった時期の母の状態について、医療機関に対する医療照会、銀行に対する払戻請求書等の開示請求を行い、相手方による違法な預金引出しの証拠を得ることができました。

また、交渉や調停での解決意思がない相手方の場合、訴訟提起して裁判所に判断をしてもらうことや、強制執行の可能性も含めて対応することが必要です。相手方は、訴訟で裁判官が一定額の支払いが必要であると心証開示をしても、金銭支払いをすることも不動産を処分することもしたくないとのことで、和解に応じることを頑なに渋る態度を続けたため、訴訟中に不動産の仮差押えも追加で行いました。その結果、相手方もこのまま判決となり、強制執行されることのリスクを考え、金銭支払いをする和解に応じました。

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